言語的エピソード記憶が出てこない(1)
10月のブログの続き。
視覚記憶がこんなに回復すると思わなかった。
書類を転記する時、前は紙を裏返すと内容がすぐ抜けたのが、今は2分以上もつ。
過去の光景も、手がかりがあれば思い浮かんで、味、匂い、触覚を伴うこともある。
それがなぜ損なわれ、なぜ復活したのかわからないけど、私のエピソード記憶は〈非言語〉に関する限り修復可能なのかもしれない。
ところが、音声言語のエピソードだと、数分前に聞いたことすら消えてしまう。
話にあいづちを打っているのに、その後「今なんて言ったの?」と聞くことも増えた。数分前どころかリアルタイムで。
そういった言葉を無理に思い出そうとすると、頭の中にサイレント映像が途切れ途切れに現れ、キーンとした何かが広がる。
音の高低や、相手と自分の感情、といったニュアンスはなんとなく思い出せるから、もどかしいし、気持ちが悪い。
いつからひどくなったんだろう。
文字ならどうか。
例えばメールの返事を書くのに何度も読み返さないと、相手が何を書いたかすぐ忘れてしまう。
以前とはかなり違ってしまった。
これでは、もし犯罪の被害者になっても何も証言できないので困ってしまう。
……
こうなったらもう、非言語記憶を駆使して言語的エピソードを覚えるしかない。
例えば聞いたことをオウム返しすると、口の動きがプラスされて少し印象強く残る。身振り手振りも同じように。
本当に保存したいなら、メモなりボイレコなり使えばいいのだ。
でも、会話内容を思い出せないのはいつも寂しいし、周りの人にあきれられてしまう。
それは信頼や責任にも関わることなので、なんとかならないものかなあと思う。
<おまけ>
エピソード記憶についてはこちらのPDFなどが参考になります。
・記憶は脳のどこにあるのか?
・神経心理学入門 記憶障害のみかた