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2022年10月

2022年10月24日 (月)

ヘレン・ケラーの記憶力と言語力

自分が精神『障害者』になったせいだろうか、急にヘレン・ケラーのことを調べたいと思った。

今まで「目が見えず耳も聞こえないのに言葉を覚え、話ができるようになった人」という記憶しかなかった。
どこか「気の毒な人」という意識すらあった。

だけど自伝を読むと、そんな単純なものではなかった。
彼女は、障害のない人でもとうてい成し遂げられないような力の持ち主である。

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彼女は指文字や言葉を覚える前から刺激豊かな体験をし、見聞きできないはずのことまで事細かに覚えていた。
アン・サリバン先生と出会ってからは次々と語を覚え、膨大な数の本を(指文字や点字で)読み、何か国語もの言語を覚え、今のハーバード大学では健常者とともに学んで卒業し、たくさんの著作を残した。

自伝を読むと、その豊かな記憶力と表現力に驚いてしまう。

彼女が"言語"を正しく覚えたのは7歳からなので、適した習得時期をとっくに過ぎている。
そこまで彼女を成長させたものは何なのだろう。

もちろん、恵まれた家庭に生まれたことと、彼女に一生を捧げた師のおかげもあるかもしれない。
だけど、もとから好奇心と向上心が本当に強い人だったんだと思う。

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私には、子供時代のエピソードがストーリーとして残っているというだけでも驚きなのに、それを小説のように再現できるというのは、ヘレンにしかできないことなのか、それとも、誰でもある程度できることなのか。

私は見えて、聞こえる代わりに、その知覚を処理するのに精いっぱいで、なにか肝心のものが欠けている。

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意志を伝えたい、という気持ち、うまく伝わらないもどかしさは、どこか共通している。
だから、その手段である言葉をたくさん学びたいというのも。

それを受け止め、返してくれる人が、どれだけいるか。

「障害だから、しゃべれないのだから、たいして話さなくてもいい」ではなくて、見聞きできる人と同じように積極的にコミュニケーションを取ろうとした、ヘレンの家族や先生、友達の存在は素晴らしいと思う。

私も、伝えたい気持ちをあきらめたり、あきらめさせたりしないようにしたい。

2022年10月18日 (火)

"思ったこと"を覚えていられない症状

昨日気づいたこと。
私は自分が思ったこと、感じたことを覚えていることができない。

長期記録はもちろん、
「今鍋を火にかけたから、3分後に消そう」
といった短期記憶ももたないことがある。

人との会話内容を(耳から)覚えるのは昔から苦手だったけど、それは
"相手の発言に対して自分がどのように感じたか/発言したか"が覚えられないからだ、と気づいた。

逆に、その記憶が得意な人の話を聞くと、「Aさんが~と言って、私は~と思った」というのがスラスラ出てくる。
びっくりしてしまう。

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この不具合は子供の時からあったけど、徐々に、徐々に衰えてきた。
「3日前のことが思い出せない」→「昨日のことが思い出せない」→「今朝のことが思い出せない」→「予定が思い出せない」という風に。

だから、思考やエピソードを比較的よく覚えていた頃もわかっている。
どんな楽しい会話も頭から消えてしまうのは、とても悲しい。

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過去のいじめやパワハラも、何と言われたか、何と感じたかの記憶が薄かったので、報告や相談のしようがなかった。
嫌な経験をすぐ忘れられるのは有難いけれど、つらい感情はしっかり残る。

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このタイプの記憶は一体脳のどこが担っているのだろう。

思いつくのが海馬、例えば場所細胞といってどこを移動したかなどの履歴を記録する部分である。
ところが私は逆に、どこへ行ってどの道を通ったかというのはずっと覚えている。

例えば、海馬を含む大脳辺縁系という、動物的な情報処理を行う部位と、意識的な思考を扱う前頭葉、言語を扱う側頭葉が、うまくリンクしていないのかもしれない。

意識できないだけで、過去のエピソードは他の人と同じように、脳のどこかに残っているのかもしれない。
今はそう考えている。全く覚えてなかったらこの文章も書けないし、もっと失敗だらけになってしまうだろう。

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周りの人にも、このタイプの記憶が苦手なことを伝えようと思う。
でないと"覚えられる人"に誤解されてしまうから。

2022年10月15日 (土)

応募先に連絡し忘れた

ハローワークに障害者として求職者の登録をし、すぐに応募したい事業所が見つかった。職種も時間も申し分なく、渡りに船かのよう。

すぐに帰って履歴書を書いたら、度重なる書き損じで用紙をダメにしてしまい、パソコンで打ち直した。

職務経歴書と送り状も作ると、二時間以上かかった。前に比べてずいぶん遅くなったものだ。

受付終了ギリギリに郵便局に出しに行ったら、郵便番号を書き忘れていた。これは受付で調べてくれて解決。

その週内には嬉しいことに、面接の日程を尋ねるメッセージが来た。

ところが、

「明日電話をかけてほしい」という文言があって、そのことを夜の間に完全に忘れていたのだ!!

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なんで、なんで、こんな大事なことを忘れたのか、自分でも信じられない。

「このことを忘れないようにしないと」と思ったのに。

ただ、冷静に考えると、たくさんの要因が絡んでいる。

一番大きかったのは「明日の何時~何時」と書かれていたことだ。私はこのような相対的な時間表現が覚えられない。これは、自分で「15日の9:30」という風に決めておくべきだった。

しかも電話なら、復唱やメモをするから記憶に強く残っただろうに、文字で送られたのもあって「メモはしなくていいか」と油断してしまった。

あとは緊張によるストレスや(そのせいか)夜更かし、土曜日でリズムが狂っていたのもある。

まるでテストのために、イレギュラーな連絡方法をされたのではないかと勘ぐってしまう。

……

とにかく、夜、携帯に母からの着信が来るまで、丸一日電話をすることを忘れていたのだ。

日中、面接の内容や運良く採用された時のことも考えていたのに……

思えば、書類送付でのミスと遅れの時点から予兆はあった。仕事の基本が全然できていない。障害者雇用とはいえ、こんな状態で就職できるのか?

先方はもう誰も出なかったので、すぐお詫びのメッセージをして、週明けに電話もするつもりだけれど、恐縮と落胆の気持ちでいっぱいだ。

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大事な用件を忘れてしまうこと、それ自体は発達障害や二次障害の症状かもしれない。でも、そのことを自覚していたのだから、事前に対策を取れたはずだ。紙に書いて貼っておくとか、機械にリマインドさせるとか。

今回は、痛い教訓としてこれからに活かしたい。

2022年10月 4日 (火)

ADHD+二次障害という立場(長文)

主治医にはどうも困り度が伝わりづらい。

受診では障害者職業センター通所が終わったこと、クローズ就労かオープン就労か迷っていること、9月から新しい講習を受けていることを話した。

そして、就活に際して自分のことをどんな風に説明したらいいかと尋ねた。正確には、私が自問するのを聞いてもらった形。

それで、"発達障害(ADHD)と二次障害(うつなど)と言えば通じるだろう"という答えになったんだけど、なんだか腑に落ちない。

私はもっと医学的な用語で表してほしかったからだ。例えば双極症や軽度認知障害のような。

診断されてない病名は名乗れないし、当事者仲間を探すにも不自由だと思う。

だけど話を受け入れた以上はしかたない。

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春からストラテラが80mgになり、少量のジプレキサが足されたけど、果たして効果はというと……

時間や期限は前より守れるようになり、やりっぱなしもかなり減った。(ただ、去年までなかったような度忘れはする。)

夏の間は活動的で、職業センターでも進んで発言できた。

追記:料理の下ごしらえや虫を捕まえるといった素早い手先の作業が得意になっていた。

必要なことに注意や意欲をとどめるという効果は間違いなくあった。

……

かたや、好奇心や創造性は減った気がする。遠出しよう、誰かに会おう、自己表現しようといった気持ちが起きない。

ストラテラはADHDのとりとめない言動を減らす代わり、人を正気にさせすぎると個人的には思う。

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ジプレキサの効果と思われるものは、以前書いたので省略。

食欲増進作用があるというけれど、ストラテラは逆に抑制するのでしばらく体重をキープできていた。それが9月になって突然、お腹がすいてすいて我慢できなくなった。当然服はサイズアウトしてしまった。

それらの作用がありながら、前回、前々回に書いたような悩みは消えない。主治医にうっかりが進んでいると何度訴えても、いまだ信じてもらえずにいる。

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