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2020年6月 6日 (土)

名もない人だって頑張った

8日が経って薬は完全に抜けた。酒も薬も飲みたいと思わない。体力はない代わり、気分も上がり調子だ。例えば、溜まっていた洗い物を済ませることができた。普段なら朝飯前のこと。かたや、不調の時の辛さは、洗濯物を干すというだけでも、まるで東京タワーのてっぺんまで階段で登るくらいおっくうだ。

注文をつける人はいても手伝う人はいないから、家事をやらなければ5日でも10日でも溜まる一方。食材も傷んでいく。だからとにかく身体を動かせるようになることが先決。

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主婦という仕事は、家族に顧みられなければ、誰にも褒められない、感謝されない仕事だ。だから労働量が増えても、パートなりボランティアなりをしたかった。それが自粛要請で望むようにできなかった3ヶ月。

メディアでは医療関係者をはじめ、様々な職種の人に慰労の声が送られた。それは当然の話。ただ、私は最近ひねくれた見かたになっていて、自分が社会の役に立たず、人に迷惑をかけるばかりの人間に思えてきてしまったのだ。

もともと世の中のほとんどは、私達のような、資格も賞もない、ネットで注目されたこともない、人付き合いの少ない名もない人間が占めている。むしろ時々、小さなことで非難される(マナーを間違えたとか、ペーパーを2パック買ったとか)。

リハビリやサークルを休んだ高齢者も、学校やテーマパークを我慢した子ども世代も、様々な理由で休業、待機を強いられた人たちも、もちろん仕事のない主婦も、みんな頑張った、労わるべき人だ。自粛や衛生活動は間違いなく、新型コロナウイルスの拡大防止に一役買ったはず。

かかってしまった人には非が無い。運が悪かっただけで、私だって何度か風邪を引いたから、それのどれかがコロナ(またはインフル)だった可能性もある。

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個人的な考えだけど、2月頃から急に、世の人が"ステレオタイプな勧善懲悪の思考"に走り始めた気がする。コロナ禍が戦争になぞらえられたように、第二次大戦についての本やマンガで見た人の様子にも似ている。

今でもそうだ。特定の人達を賛美して、特定の人達を悪役にして、多くの人が当たり前のように我慢を強いられる、自分も長い間、その心理に巻き込まれていた。兵役に行く資格を得られなくて己を責めた人のように。

だけど、今回の騒ぎでやっと、目が覚めることができた。自分みたいに名もなく役に立たない人間がいたって、別にいいじゃないか。生きてさえいれば。

もう不要不急の自己否定はしない。

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